「MYもやし」についての質問ありがとうございます。
平成21年から4年間継続して行った、理科の発展としての総合的学習の時間(5年生ー食育)の授業でした。
計画したきっかけは、年内に研究授業を行うという予定があり、その題材設定が地産地消もしくは生産活動を取り入れたものということでした。当時の勤務校が江戸川区にあったのでまず思いついたのが「小松菜」でした。小松菜は短期栽培できるし、小松菜農家見学は3年生の社会科に組み込まれているので、繋げられると確信しました。あとは栽培の段取りをと動き始めたところ、江戸川といえども園庭の狭さなど立地条件等(住宅街で近くに畑などはない)、また、学級園での栽培計画が前年度に決定しており、学校での栽培は不可能となり振出しに戻ってしまいました。
畑や学級園を使用せずに栽培できるものと考えたのが、スプラウトでした。その頃家庭菜園のひとつとして密かなブームとなっていました。そしてたどりついたのが、スプラウトのように水耕栽培できる、より身近な野菜『もやし』でした。「これだ!」と思い、栽培して調理し食べるという流れでいこうと決めました。書店で理科関連の本を物色するうち、「もやしの授業」実践に出会いました。同じことを考える人ってやっぱりいるんだなと、うれしいというよりちょっとショックでしたが、理科の発展という視点の「5年理科ー発芽」はとても参考になり学年もこの時決定しました。
私は、この「もやしの授業」を食育の視点から、栽培を通じて「食品(もやし)について知る」ことと「生産者の努力を知る」ことを中心に授業案を考えましたが、もやしは水耕栽培なので「水」の衛生管理の徹底が難しいことから、調理して食べることはせず、栽培できることを確認するにとどめることに変更しました。「発芽の確認」「食品(もやし)について知る」「新種もやしーMYもやしの企画・栽培」「新種もやしーMYもやしの宣伝(プレゼン)準備」「プレゼン・MYもやし選び」「生産者の努力を知る」という流れとし案を立てました。そして、教育研究会(給食部)の研究授業として組み込んでもらい、全面的な協力を得て具体的な指導案の検討に入り、6~8時扱いの授業計画となりました。指導案は、専門家である教育研究部の先生方と協議しながら作成していったのでとても勉強になりました。
栽培には、緑豆を使用(1人分をプチジッパー付ビニール袋に入れ配布)。栽培キットは、ペットボトルを(1.5~2リットルボトルの下の部分を切って)リサイクルしたもの、脱脂綿、水。グループごとに栽培キットを入れる段ボール、日光を当てないようにするため黒の布または、黒ビニール・色画用紙を用意。豆を仕掛けた後は、段ボールに入れ覆いをして教室保管しました。何も言わなくても子供たちは、中をのぞいて発芽を確認していました。発芽を待つ間に、もやしについて、家庭での取材や図書・インターネットを活用しての調べ学習をします。インターネットの情報は、あらかじめ下調べしておきサイト名やアドレスを提示すると、時間短縮にもなります。図書も選んでパソコン室に持ち込んでおきました。発芽を確認し、もやし調べ・発表が終わったところで「MYもやし」の企画に入ります。作ってみたいもやしを考えてもらい、その内容からグループ分けします。企画会議後「MYもやし」栽培に入るので、緑豆以外の豆やスプラウトを用意し、それぞれのグループに作りたいもやしにあった豆を選ばせます(あくまでも、その豆が適しているかどうかは予想の範疇ですが)。栽培している間に、宣伝会議・プレゼン計画を経て最終授業となります。「MYもやし」をグループごとにプレゼンした後、自分が購入するとしたらどれを選ぶか、「もやしえらび」をしてもらい発表します。発表を聞いて、選ぶ視点の違いなどに気づき、選んだもやしを変更する機会を作りワークシートに記入し授業は終了です。
実施しての感想ですが、事前アンケートで栽培活動に興味を示さなかった児童も、積極的に取り組む姿が見られたこと、「MYもやし」では、太いもやし・カラフルもやし・おいしいもやしなど、毎年出てくるものもあるが、ユニーク発想もあり楽しい企画会議を経験したこと、なにより、最後の授業で、食物選択の基準がさまざまであることをほかの児童の発表を聞いて気づき、安全安心な食品を選ぼうとする態度が見られたことが、この授業を計画実施してよかった点です。総合的な学習ということで時数は多いのですが、その分児童と長く関わることで、大げさですがこちらの意図した点に気づく姿や成長が観られたことは初めての経験ながら、感動的でした。
以下、詳細は、教えて先輩「2..指導案を作ろう」「指導案例(学年指導実践例)5年」を参考にしてください。
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