知恵袋(37号)
ダイエットで肝脂肪が増える?
最近TVや雑誌で「ダイエットの方法で肝脂肪が増える」と言った情報が流れています。
このことを書いている矢先、先日NHKの「ためしてガッテン」でも取り上げられていました。
どんなダイエット方法が肝脂肪を増やしてしまうのでしょうか?それを理解するために肝臓がどういう働きをしているかを知ることから始めましょう。
さて、肝臓の働きは500以上あるということは知っていますか?
500以上ある働きの中からいくつか取り上げてみたいと思いますが、その前に、健康診断などでよく耳にする肝臓機能異常を知ることができる「γ-GTP」と「ALT(GPT)」についておさらいです。
「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓は働きすぎでダメージを受けていても自覚症状がほとんどありません。
気付かないうちにダメージを蓄積しているかもしれない肝臓の状態を知るために、健康診断を受けたら、検査結果から「γ-GTP」やALT(GPT)」などの数値をチェックしておきましょう。
「γ-GTP」
解毒作用を行う代謝酵素を知るための値。肝細胞が壊れると血液中に流れ出るため肝臓のダメージ度の指標となる。お酒の飲み過ぎや肥満によっても数値が上がる。数値が51以上は要注意
「ALT(GPT)」
アミノ酸の代謝に関わる酵素(主に肝臓に存在する)のこと。「γ-GTP」同様に肝細胞が壊れると血液中に流れ出るため肝臓のダメージ度の指標となる。数値が31以上は注意
「肝臓の働きのうちいくつかを確認してみましょう。」
1.解毒作用(例-アルコールを水とアセトアルデヒトに)
体内に入った薬やアルコールなどを一度肝臓に入れ、毒物を分解し、無毒化にする作用のこと。
肝機能が低下するとアルコールの解毒作用も低下してしまい、お酒を飲んだ時、アルコールに含まれるアセトアルデヒドという有害物質が分解されずに残ってしまい、二日酔いの原因となることは有名です。
アセトアルデヒドは、主にアルデヒド脱水素酵素(ALDH)と呼ばれる酵素によって肝臓で酢酸や二酸化炭素、水などの無害物質に分解され、尿や汗として体外に排出されます。アセトアルデヒドが残る原因は肝機能が低下している以外に、アルコールの飲み過ぎがあげられます。アルコールを大量に摂取すると、スムーズにアセトアルデヒドが分解されず体内に蓄積されて、つらい二日酔い(悪酔い)を引き起こしてしまいます。
また、体内で作られた有害物質を体外へ排出する働きとして、こんな例もあります。魚をたくさん食べたときに、余ったたんぱく質が分解されるとアンモニアが生成されます。このアンモニアは肝臓で尿素に変えられて排出されます。
飲まない人も要注意!解毒だけじゃない肝臓の役割。
あまり知られていない肝臓の役割として、食べ物から摂取した糖や脂肪などの栄養を、身体のエネルギーに変える「代謝機能」があります。
お酒をあまり飲まなくても、油っこい食品や甘いお菓子、肉、卵、小麦粉などをたくさん食べる人は要注意。
肝臓は食品の栄養をエネルギーに変えようと必死で働きかけるため、疲労して肝機能が低下することがあります。
肝機能が低下すると、糖や脂肪の代謝がスムーズに行えなくなり「高血糖」や「脂質異常」になります。
このことが「脂肪肝」を引き起こし、さらなる肝機能低下を招く悪循環となる恐れがあります。
2.血糖値を左右する
血液にはブドウ糖が80~100mg/dlの一定量で含まれています。
血糖が多すぎるときは肝臓が多すぎるブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵し、血糖が少なくなるとグリコーゲンからブドウ糖に戻して血液の中に出す働きをしています。
食物を摂取した後には小腸から大量のブドウ糖が肝臓に送られてきて、そのまま肝臓に貯蔵され空腹になると放出されます。
3.栄養の代謝と貯蔵
食べたものはそのままの形では栄養として体に吸収できないため、食べたものを分解して栄養として吸収することになります。
肝臓は、小腸で吸収された糖分、脂肪分をエネルギーに変えて貯蔵したり、たんぱく質、グリコーゲン、脂肪を合成分解して蓄えて必要なときにエネルギーとして使うために体内に送り出す働きがあります。
こうした代謝の際に作り出される熱は、体温を維持していくのに大切なものになります。
4.血漿(けっしょう)を作っている
血漿の中にはいくつかのたんぱく質があり、アルブミン、α-グルカン、β-グロブリン、γ-グロブリン、フィブリノーゲン、があり、肝臓で合成されてから、血液の中に出されます。
肝臓では、血漿の中にあるコレステロールも生成しています。
5.脂肪をエネルギーに転換
6.胆汁の生成と分泌
7.糖質を中性脂肪に変える
8.糖質を血液に送りエネルギーに転換
などなど、肝臓は500以上の働きをしているということです。
ビタミンの合成にもかかわっているそうで専門書で勉強しなくてはいけませんね。
話を最初に戻すと『ダイエットのやり方によっては「肝脂肪が増える」』とはどういう事でしょうか。
ダイエットしている人が次のような事を言っているのを耳にしたことはありませんか?
Aさん 一ヶ月で3㎏減らしたけど簡単だった
Bさん 一週間で2~3kgを減らすのは簡単です。逆に増やすこともできますよ。
Cさん 糖質を抜いた食事で一ヶ月5kg痩せた
Dさん ジュースだけのダイエットで一週間に2kg痩せた 等々
ダイエットする人は、急激に体重が落ちるとその達成感で気持ちよくなり更に減量を続けます。そんな中、一ヶ月で5~7kg痩せるのはいつでもできると思い、ダイエットを中止して食べたいものを食べ始めたりする人がいます。
また、ある人は何でダイエットに成功したのにダイエットを続けなければいけないのかと疑問を感じ、今日から好きなものを食べようとダイエットを中断する人もいます。
いわゆるリバウンドに陥る典型的なパターンですよね。
特に糖質抜きダイエットはきちんとその理論が分かっていないと陥りやすいようです。
Webで糖質抜きダイエット検索 → 7,030,000 件の検索結果が表示されます。
どれも興味を引くメッセージが画面に踊っています。
ダイエットで脂肪肝に? ・・・原因は
肝臓は体のエネルギーを「脂肪」の形で蓄える臓器でもあります。
たくさん食べると血液中にエネルギー源が増えすぎるので、その余ったエネルギーを肝臓が回収し、脂肪として蓄えます。
このような状態が長く続くと「脂肪肝」になっていきます。
それとは逆に食事量を極端に減らすような急激なダイエットを始めると、脳が飢餓状態だと判断し全身の脂肪細胞や筋肉がエネルギーを放出してしまいます。
筋肉が減少すると代謝が落ち、消費するエネルギーも少なくなってしまいます。
その結果、ダイエットをしているつもりでも、肝臓に脂肪が溜まりやすい状況になってしまうことがあるのです。
ダイエットを中断し食べ過ぎてしまうと脂肪がたまりやすい状態にあるところに食事から摂取する栄養が体内に入ってくることで脂肪肝が進むと言われています。
肝臓に負担をかけないダイエットの方法は?
- 1.月に1~1.5kgのダイエット。
半年で10kgを超えないゆるやかなダイエットが理想です。
それ以上に体重を減らしてしまった場合は、今の体重を維持していくことが大切です。
運動などを併用して筋肉を増やすようにすると効果的です。
- 2.1日30分程度のウォーキングが有効です。
8,000歩を目安にして早歩きも取り入れると効果が高くなります。
3分ゆっくり歩いて1分急いで歩くのも良いですね。
雨が降ったら・・・・・・。
- ◇参考◇
コラム「糖尿病を克服したダイエットのスペシャリスト」
第8回【すぐ実践「家でできる運動」】も参考になると思いますので、ぜひ目を通してくださいね。
豆知識…筋肉の70%は足についています。
歩くことで筋肉を増やす効果が大きいです。
- ◇参考◇
- 3.睡眠は最低6時間以上とる事
夜更かしで寝不足になると睡眠中の脂肪エネルギーが早寝して6時間以上寝たときに比べ5~8%消費が減るといわれています。
これは交感神経が昼は脳に糖を送る。
夜は脂肪を使うモードに切り替わるためだそうです。
しっかり寝て夜に体が脂肪を燃焼させるモードに切り替えましょうね。
さあ、今日からこの知識を知恵に変えてどう生活に取り入れますか?
時間があったら、コラム「糖尿病を克服したダイエットのスペシャリスト」もご覧ください。
「最終号」に一覧が掲載されています。