ダイエット(第10号)
食物繊維の働きについて
前回、炭水化物は糖質と食物繊維でできていることを説明しましたので、
今回はダイエットに大きな関わりを持つ「食物繊維」について少し掘り下げてみたいと
思います。
何度か「食物繊維」について取り上げていますので重複することもありますが、
再確認と思って読んで下さい。
(食品に含まれる食物繊維の量については第2号で、説明は第3号の野菜食べメリットにも書きましたので参考にして下さい。)
種類も性質もいろいろある食物繊維
食物繊維はさまざまな食品に含まれています。
とくに野菜や果物、豆類やきのこ類と海藻に多く含まれています。
海藻の乾燥重量の40%~60%は食物繊維です。
海藻の食物繊維には、セルロース、へミセルロース、キシラン、マンナン、
キチンなどの細胞壁を構成するものと、アルギン酸、フコイダン、ラミナラン、
寒天などの細胞と細胞の間に貯蔵されているものがあります。
セルロースなどは水に溶けない食物繊維で、アルギン酸、フコイダンなど細胞間に
貯蔵されている食物繊維は、海という陸上とは違った環境の中で生育している
海藻に存在することから、特異なはたらきを持つ成分が含まれています。
セルロースは腸の掃除屋さん
セルロースなどの水に溶けず消化もされない食物繊維は、腸の中で水を含んで
数倍から十数倍にふくらみ、腸の中でできる便の量を増やして柔らかくします。
さらに腸の壁を刺激して腸のぜん動運動を活発にして排泄を促し、便が腸の中に
長くとどまることを防ぎます。
腸での便の通過時間が短いということは、便の中の有害物質をも体外に出すことに
なるので吸収を妨げることになります。
排泄を促す食物繊維は、まさに腸の掃除屋さんというわけです。
アルギン酸の3つのはたらき
- ①.塩分も排出してくれるアルギン酸
わかめ、こんぶ、めかぶなどのヌルヌルしたぬめりの正体は、水溶性の食物繊維である
アルギン酸です。
アルギン酸の働きには塩分を体外に排出するという機能があることが、
ラットを使った実験でも明らかにされています。
アルギン酸は体内で食塩のナトリウムと結びつき、すみやかに便の中に
排出させてしまう働きがあります。
そのため体内のナトリウムは減少し、血圧の上昇を抑えることにつながるのです。
このことから、高血圧を防ぐには塩分を控えた食事をすることも大切ですが、
アルギン酸を多く含むわかめやひじき、昆布などの海藻を多く食べることが大事です。
- ②.腸内細菌のバランスを整えてくれるアルギン酸
腸には100種類ほどの腸内細菌が、100兆個ほど住みついていると
言われています。
その中には病原菌の増殖を抑える有益なはたらきをするビフィズス菌などや、
腐敗をすすめ、毒素をつくりだして害を及ぼすウェルシュ菌(嫌気性)など、
さまざまな細菌がいます。(前者を有益菌、後者を有害菌と呼ぶ)
アルギン酸など水溶性の食物繊維は、有益菌の栄養源となるので食物繊維を
十分にとると、有益菌が増えていきます。
腸内細菌の総数はだいたい一定なので、有益菌が多くなると有害菌の活動は
抑えられていきます。
したがって、食物繊維をたっぷりとることは腸内細菌のバランスを整え、
腸のはたらきを健全に保つことにつながります。
- ③.血液中のコレステロールを減らすアルギン酸
コレステロールは、細胞膜をつくったり脳や神経の機能にもかかわっていて
人間が生きていくうえで大切な働きをしていますが、血液中にコレステロールが
多くなると血管の中にたまり、動脈硬化をひき起こすもとにもなります。
アルギン酸の持つぬめりは、食物のコレステロールを包み込み、そのまま腸を
素通りして体の外に排出してくれるので、血液中のコレステロールを減らします。