Kさんとは逆に私の移動後、後任者(Tさん)が出したカレーは市販のルーを使ったものでした。
3ヶ月ほどたったある日、教育センターで前任校の専科とばったり。開口一番「わー!久しぶり、ねぇねぇ先生の後任のTさんが立てた献立のカレーを食べた子どもたちから大ブーイングが出たんですよ。先生方も前のほうがスパイシーで美味しかったのにと放課後の職員室でもその日はカレーで盛り上がっていましたよ」「耳に入っていますか?」
私は「子どもたちから聞いていますよ」と答えたのですが、とても複雑な気持ちになったのを覚えています。
Tさんは私より経験のある先輩ということはわかっていました。
後日、別の栄養士からTさんの献立などについて教えてもらったのですが、午前中は給食室にずっといて調理士さん達にとても信頼があるということ、採用以来カレーは市販のルーを使った献立を立てているとのことでした。
子どもたちや先生方の声を聞いたTさんは次の月、前のカレーに戻したということでした。
栄養士は一人職場なので、給食時間に教室を回わらなかったり、先生たちとの会話が無かったりしたらなかなか自分の立てた献立の評価を耳にすることが出来ません。子どもたちのために美味しい給食を出したいと思うなら常にアンテナを張っておき、子どもたちや先生の声だけでなく、保護者と子どもの間でかわされる給食の話など、知っておくことも大事なことだなとその時思いました。
もう○十年も前のできごとでしたが、今もこのカレーのことを思い出すと複雑な気持ちになります。
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